研究成果

1 水月湖年縞研究のあゆみ

1993年 第一次調査

水月湖で湖底堆積物の採取が初めて行われたのは、1991年のことでした。安田喜憲国際日本文化研究センター名誉教授をリーダーとした研究チームの試掘により、年縞堆積物の存在がアジアで初めて確認されました。その後、同チームは1993年に約75mの堆積物を採取。日本における本格的な年縞研究の幕開けとなりました。

 

2006年 第二次調査

2006年には中川毅英国ニューカッスル大学教授(当時)率いる研究チームが、4本のボーリングを行い、約73mに及ぶ完全な堆積物の採取に成功しました。採取された標本「SG06」は、何年もの年月をかけて縞が数えられ、また、縞に含まれる葉化石の放射性炭素年代が測定されました。その研究成果は、2012年に米科学誌「サイエンス」に掲載され、翌年には、水月湖の年縞が、約5万年前までの年代を特定する「世界標準のものさし」である、IntCal13の中心部分に採用されました。

 

2012年 第三次調査

2012年の調査は、多田隆治東京大学教授(当時)の研究チームによって行われました。年縞に含まれる黄砂などから偏西風の時代変化を調べる研究や、河川から流入する粘土の堆積速度をもとに降水量を推定する研究が進められています。

 

2014年 第四次調査

2014年には、福井県が年縞の採取を行いました。年縞の価値を広くアピールし、研究、教育、観光の拠点となることを目的に、2018年9月に開館した「福井県年縞博物館」では、この調査で採取した実物の年縞が展示されています。イギリスのオックスフォード大学を中心とするグループは、この時に採取された年縞試料に含まれる火山灰を分析し、日本の噴火史を詳細に復元することに成功しました。